Japanische Klassiker mit Furigana
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へんさいじょき
貢太郎見聞録
田中 貢太郎
Lesen Sie 貢太郎見聞録 (へんさいじょき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.162 Zeichen · 59 Bildschirme
ちょうど大波の上に乗った小舟のように揺れて、畳がむくむくと持ちあがりそうになった。がらがらばらばらと物の崩れるような音や倒れるような音が、周章てた私の耳に入った。
「地震だ」
私と和智君ははね飛ばされたように起ちあがった。私は畳の上を二足ばかりひょろひょろと歩いた。
「おい、地震だ、地震だ」
下から女の児の泣き声と家内の叫ぶ声とが同時に聞えて来た。私はふと家内と子供を二階へ伴れて来ようと思った。それは安政の地震をはじめ地震のことを研究している人から、二階にいれば比較的安全だということを聞かされているためであった。私は和智君が倒れかけた襖の傍を裏崖へ向いた窓の方へ往く姿をちらと見たばかりで下へ駆けおりた。
「二階、二階、二階へあがれ」
家内は一枚障子のはずれた玄関の柱の傍につくばって、左の手をその柱にかけ、右の手で泣き叫ぶ四つになる末の女の児を抱きかかえるようにしていた。八つになる女の児はその後で持ちあがる畳を押えつけようとでもしているようにしてこれも泣いていた。私はいきなり家内の抱きかかえるようにしている末の児に手をかけた。
「大丈夫、大丈夫、二階へあがろう、二階へあがろう」