Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まずしきひとびとのむれ

貧しき人々の群

宮本 百合子

Lesen Sie 貧しき人々の群 (まずしきひとびとのむれ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.959 Zeichen · 118 Bildschirme

Aozora Bunko

道でなど会うと、私はほんとうに心から挨拶をして、丁寧に病気の塩梅を聞いた。

随分気分の悪そうな顔をしているときでも、彼は、

「おかげさまで、だんだん楽になりやす」

とほか云ったことがなかった。

十四

新さんのことがあったので、三十一日はかなり早く来た。二百十日前のその日は、大変に朝から暑くて、鈍い南風が、折々木の葉を眠そうに渡った。

いつもより早く目を覚ました私は、いつもの散歩がてら村を歩いて見た。

家々はもうすっかり食事までも済ましている。前の広場だの、四辻だのには、多勢の大人子供が群れてガヤガヤ云って騒いでいる。

けれども、私の驚いたことには、彼等の着物や何かが昨日とはまるで別人のように、汚くなっていることである。女達は、皆蓬々(ぼうぼう)な髪をして、同じ「ちゃんちゃん」でもいつ洗ったのか分らないようなのを着ている。裸体(はだか)で裸足(はだし)の子供達は、お祭りでも来たようにはしゃいでいるし、ちっとも影も見せないようにして奥に冷遇されていたよぼよぼの年寄や病人が、皆往還から見える所に出て来ている。

桶屋でも、あの死ねがしに扱っている娘を、今日は、特別に表の方へ出して、ぼろぼろになった寝具を臆面もなく、さらけ出して置く様子は、私に一向解せなかった。