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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかいかしゃ

赤い貨車

宮本 百合子

Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

十五分もたったころ、アンナ・リヴォーヴナの声が入口でした。

「さあさあ、どうぞこちらへ」

ナースチャは台所の戸からのぞいた。アンナ・リヴォーヴナのうしろから、バンドつきの外套を着て書類入を抱えた山羊髯の小男が、すべるような足どりで入って来た。男はナースチャを見つけると、ちょっと鳥打帽子のひさしに指をかけ、いやに丁寧に、

「こんにちは」

と云った。さっきの男だろうか。ナースチャがまごついていると、その山羊髯の男は唇だけで薄く笑いながら、

「アンナ・リヴォーヴナ、あの娘さんがさっきわたしを入れませんでしたよ」

と云った。

「まあ、どうしたのさお前、御挨拶をおし。田舎のお嬢さんですが、それはよく働きますの」

アンナ・リヴォーヴナは愛嬌よくナースチャに近よって肩をたたいた。

「お互に仲よし、ね。親子のようにやっています」

ナースチャは、つっ立ったまま二人が食堂に入るのを見送り、肩をしゃくり、台所へ戻った。男の水のように冷たくて、ねばっこい瞳がナースチャを不快にした。男は唇で笑ってアンナ・リヴォーヴナに話しながら、眼でじっと睨んだのであった。

男は本当に部屋を借りるらしかった。