Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいかしゃ
赤い貨車
宮本 百合子
Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme
ナースチャを見上げ、それから夫をアンナ・リヴォーヴナは眺めた。パーヴェル・パヴロヴィッチは故意としか思われぬ無邪気な眉のひらきようをして、窓の外に見とれている。アンナ・リヴォーヴナは、頭をふり、紙をひろげて、項目に眼をとおしはじめた。
その場の空気から、ナースチャは変に不安な居心地のわるい心持になり、立ちつづけた。これはそんななにごとかなのであろうか。
待ち遠しくなったほど丁寧に読み終って手を紙の上におき、アンナ・リヴォーヴナは、
「じゃ、よろしい」
とおだやかに云った。
「書いたげよう。――だがいそぎゃしないんだろう? ナースチャ」
ナースチャはいそぐと云えなくなって、
「ええ」
と答えた。
「じゃ、紙おいときますから」
はっきりしない気持でナースチャが去ろうとすると、アンナ・リヴォーヴナが彼女をよびとめた。
「ちょっと、ナースチャ、この紙、たしかに書いたげるには書いたげるが、お前、組合ってどんなもんだか、よく知ってるかい」
食堂の戸口のカーテンのところに立ち止って、ナースチャはまごつきを感じ、むっつり答えた。
「知ってると思います」
「そりゃ素敵だ! 説明してごらん」