Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あかいらくだ
赤い駱駝
梅崎 春生
Lesen Sie 赤い駱駝 (あかいらくだ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.820 Zeichen · 24 Bildschirme
短剣が床におちていて、傷は咽喉のところだった。まだ呼吸がわずか残っているようにも思えたが、軍医長がきたときは、すっかりこときれていた。
その日の昼すぎ、二見の死体は埋められた。それを命ぜられた二、三のものをのぞいて、たれも二見の死には冷淡だった。船便がやってきたからだ。埋め終ったころ、最初の大発が海岸から出発した。おれたちは二見を埋めた丘の上から、それを眺めていた。大発のなかの兵たちは、こちらに向ってもしきりに手を振った。
二見の話はこれでおしまいよ。
二見の遺品も全部処分したが、手帳だけはおれがあずかった。この手帳には、住所書きとかいろいろ文字が書いてあって、後になるほど乱れて判読できなくなっている。錯乱して後の手蹟だろう。まだ正気のときらしい文字のなかに、「赤い駱駝」という四字が一頁に書かれてある。今思うんだが、ひょっとするとあいつは、そんな童話を書こうと思いついて、心覚えに書きとめておいたのかも知れない。それも敗戦前のことか、敗戦後のことかは判らない。しかしこの言葉はいずれにしても、奇妙にあの夕焼をあざやかにおれの胸に再現される。そしてそこに立っていた黒い二見の姿を。