Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.351 Zeichen · 43 Bildschirme
「こんな時刻にか」
「水を眺めながらの朝酒」と云いかけて、藤吉は苦笑した、「こいつは月並すぎたか」
船宿は小舟町三丁目の堀端にあった。古ぼけた小さな家で、それでも二階に二た間あり、とおされた表の六帖の障子をあけると、堀の対岸に牧野河内の広い屋敷があり、邸内の深い樹立が眺められた。
「とにかく恰好だけつけましょう」
藤吉はそう云って酒を注文した。
「猪之が嫁に欲しいというのは、同じ田所町にある居酒屋の娘でした」と藤吉は話し続けた、「年は十七だったでしょう、お孝という名で、顔も躯もまるまると肥えた、おそろしくがらっぱちな女でした」
藤吉は冗談はよせと云った。選りに選ってあんな女を貰うなんて、ばかにでもなったのか。冗談じゃねえ本気だ、と猪之はいきり立った。あにきにはあんな女かもしれないが、おれはどうしても女房にしたいんだ、頼むからいって話をまとめて来てくれ。そう云うようすが正しくしんけんそのもので、眼の色さえ変っているようにみえた。
――本当に本気なんだな。
藤吉は念を押し、それからその話を持っていった。娘の親は大吉といい、これも初めは冗談だと思った。娘のお孝も「からかっちゃいやだよ」