Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.351 Zeichen · 43 Bildschirme
「しょうがねえ、追い返すのも可哀そうだから、そのまま水戸へ留めておきました」と藤吉は云った、「但し、あっしは但しと念を押しました、もうこんどは女に惚れるな、おれは二度とふたたび縁談にはかかわらねえからって」
猪之はほっとしたように笑って云った。
――もう決して迷惑はかけねえ。
その代り近江屋のほうは頼む、と猪之はぬけめなくつけこんだ。いいだろう、と藤吉は引受けた。こんなこともあろうかと、正式な話は延ばしてあったので、断わるのもそれほど困難ではないと思ったからである。
相模屋の普請は長びき、二度も「大政」の頭梁が江戸から見に来たくらいだったが、それでも梅雨にかかるまえには仕上げることができた。だがこのあいだに、猪之はまたかみさんをみつけたのであった。自分からは云いださなかったけれども、水戸へ来て半月ばかりすると、ようすがおかしくなった。職人たちは普請場に建てた小屋で寝泊りをしていたが、藤吉は頭梁代理なので、相模屋が地内に家を一軒あけてくれ、食事なども賄ってくれていた。
「猪之もあっしのところへ置きました、なにしろ側にいねえと年寄りの男やもめみてえな気持になるってんですからね」