Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.351 Zeichen · 43 Bildschirme
――断わっておくが、と藤吉は云った。こんどはおれを頼りにしねえでくれよ、おれはもうまっぴらだからな。
――わかってるよ、いいんだ、どうかおれのことは心配しねえでくれ。
そして猪之は口の中で、「三度目の正直なんだがな」と呟いた。藤吉は聞き咎めた。三度目の正直とはなんだ。なんでもねえ、と猪之は低い声で答えた。これまで好きになった女が幾人かいた、その中でいちばん好きになり、本当にかみさんに欲しいと思ったのはこれが三度目で、おまけにこんどこそ本物だということがわかったんだ。
――おい、よく考えてみろ、と藤吉は云った。なにが三度目だ、こんどはもう四たび目になるぜ。
――そんなこたあねえさ、いいか、およのにお松で二度だろう。
――初めのお孝はどうした。
――お孝だって、へっ、と猪之は肩をすくめた。あんなのは数の内にへえりゃあしねえや。
――だってお松のときに自分で、これが三度目の正直って云ったじゃあねえか。
――のぼせてたからそんな気がしたんだろう、こんどこそ本当に三度目の正直なんだ。
本当だぜ、と猪之は力をこめて云った。
「あっしはできるだけそっぽを向いてました」