Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.351 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

藤吉夫婦が佐久間町へ移ったあと、猪之はいちど頭梁の家へ戻り、半年ほどして久右衛門町の長屋へ住みついた。藤吉の家へ出入りするのに、堀江にいては不便だからだろう。なにしろ三日と顔をみせない日はないので、新婚早々のおちよはずいぶん驚いたという。久右衛門町へ移ってからは、朝早く藤吉を迎えに来て、水を汲みこんだり家のまわりの掃除をしたりする。それからいっしょに仕事にでかけるが、日が昏れるとまたあらわれて、藤吉が寝ようと云うまで帰らない、というぐあいであった。

藤吉が世帯を持って以来、女のことで面倒は起こさなくなった。相変らず遊びにはいかないし、仕事さきや飲屋などで、女たちのほうからさそいかけるようなことがしばしばあるが、まったく知らぬ顔で見向きもしなかった。――ようすが変ったのは、去年の暮からであった。普請場へいっても仕事をせず、一日ぽかんと手を束ねている。どうしたと訊くと、どうもしねえと答えるだけで、やっぱりなんにもしない。ときたま鉋か鑿を持つと、棟上げの済んだ柱へ穴をあけたり、紙のように薄くなるまで四分板を削るというような、とんでもないことをやりだす。