Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.351 Zeichen · 43 Bildschirme
「それはおれの一存にはいかないな」
「用はします、あっしで出来ることならなんでもするし、ここには大工の一人ぐらい雇っておく用が結構ありますぜ」
「そうらしいな」と登は云った、「それでその次はなんだ」
「いますぐっていうわけじゃあねえが」猪之の顔がさっと赤くなり、彼は湯呑の酒をぐっと飲んだ、「まだ相手にもなんにも云やあしねえんだが、――鮨を一つ摘みませんか」
登は思わずふきだした、「つまり、お杉を嫁に貰うというのか」
「可哀そうなんだ」と猪之は云った、「あんな気の違った主人に仕えて、飯のあげさげからおかわの世話まで、いつ終るとも知れねえことを辛抱してやっている、あっしは見ているだけで胸がきりきりしてくるんです」
「すると」と登が訊いた、「哀れだから貰ってやろうというのか」
「とんでもねえ、冗談じゃあねえ」猪之はむきになって云い返した、「可哀そうなことは慥かだが、嫁に貰いてえのは好きだからだ、あっしはこれまでいろいろ女を見てきたが、お杉のような女は初めてだし、お杉となら一生どんな貧乏ぐらしをしてもいいと思う」
登は黙っていた。
「ほんとですぜ」猪之の眼がうるんでき、彼は躯を固くして云った、「――お杉を見てから、あっしはしっかりしなくちゃあいけねえと思いました、やいしっかりしろ、これまでのようなあまっちょろい考えでいては、