Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.113 Zeichen · 35 Bildschirme
「あたしは知りません」と云って、女主人は少女のほうを見た、「それとも、――とよちゃん、おまえあたしに隠れて悪いことをしたんじゃあないかい」
少女は無表情に黙っていた。
「とよちゃん、返辞をしないの」
「よせ」と去定は女主人に云った、「こんな猿芝居はたくさんだ、それよりこの子を親許へ帰すがいい、親はどこにいるんだ」
「それがよくわからないんですよ」
去定は黙っていた。
「おと年の暮までは本所の業平にいたんです」と女主人は云った、「舟八百屋をやってたんですけれど、子だくさんでくらしに困って世帯じまいをしたときにこの子を預けたんですが、そのままどこへいったか、いまだに行方知れずなんです」
去定はおとよに訊いた、「正直に云ってごらん、おまえのうちはどこだ」
「知りません」と少女はかぶりを振った、「かあさんの」と云いかけてすぐに云い直した、「おばさんの云うとおりもとは業平にあったんですけれど」
「嘘を云ってはだめだ」と去定は遮った、「私が力になってやるから本当のことを云ってごらん」
決して心配はない、誰に遠慮することもない、私が付いていてやるから、と去定は云ったが、おとよは女主人と同じことしか云わなかったし、年も十五だと云い張った。