Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.626 Zeichen · 45 Bildschirme
五
「あの子は助かるでしょうかねえ、先生」とおけいは歩きながら訊いた、「長は助かるでしょうか」
「朝が越せれば助かると思う」
「はあ」とおけいは深い溜息をついた、「ひとこと相談してくれればよかったのに、おふみさんも水臭い、どうしてこんなことをする気になったんだろう」
五
おけいはふと立停って、前掛で顔を押えながら、怨めしそうに登に訴えた。
「あたしとおふみさんは、きょうだい同様につきあって来たんですよ、先生、こっちもその日ぐらしだから、力になるなんて口幅ったいことは云えやしない、けれどもこれまではどんな些細なことでもうちあけあい、相談しあって来たんです、本当に一皿の塩、一と匙の醤油も分けあって来たのに」おけいは嗚咽をかみころすために、ちょっと黙った、「きょうだいより仲良くやって来たのに、生き死にという大事なことがどうして云えなかったんでしょう、子供まで伴れて死ぬほどのわけがあったのなら、一言ぐらいこうだと云ってくれてもいいじゃありませんか」
登は黙っていた。彼はこういう人たちをよく見て来た。貧しい人たちはお互い同士が頼りである。幕府はもちろん、世間の富者もかれらのためにはなにもしてくれはしない。