Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.626 Zeichen · 45 Bildschirme
荷を受取るために車を曳いてでかけて、途中でその発作が起こり、車を曳いたまま二日も飲まず食わずで、市中を迷い歩いたこともあった。
おふみは浅草並木町のめし屋に奉公していたとき、五郎吉と知りあった。彼は薬種問屋から暇を出され、そのときは蔵前で荷揚げ人足をしていた。五郎吉が二十一、おふみが二十のときのことである。――知りあってからまもなく、二人は江戸を出奔して水戸へいった。おふみが岡場所へ売られることになったので、彼にその事情を話すと「いっしょに逃げよう」ということになったのだ。あたしが唆したようなものです、とおふみは云った。
「水戸に三年いて、そのあいだに虎吉と長次が生れたんですけれど」とおふみは続けた、「うちの人は気も弱いし、持病もあるし、知らない土地のことで、どうにもくらしてゆけなくなり、とうとうまた江戸へ帰って来てしまいました」
ああ、とおふみは思いだしたように微笑した、「水戸を立退くまえに、親子で大洗さまへいきました、弁当を持って半日、親子で暢びり海を見て来ましたが、あとにもさきにもあんなに気持の暢びりした、たのしいことはありませんでしたよ、生れてっから今日まで、ええ、あのときがたったいちどでした」