Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.146 Zeichen · 40 Bildschirme
「ではいまでも先生だけしか知らないんだ」と半太夫は云った、「おれが会った感じでは、相当な大商人の、それも隠居といった人柄で、娘の話になると始めから終りまで涙をこぼしていた」
おゆみが狂った原因は、一人の手代のいたずらによるものだ。躰質もそうだったかもしれないが、三十男のその手代は、九つという幼ないおゆみにいたずらをし、「人に告げると殺してしまう」と威した。そんなことがあったとは知らず、ほかに不始末をしていたので、その手代は暇をだした。ずっと経って、おゆみに婿がきまり、その縁組が破談になったあと、おゆみのようすがおかしくなり始めたとき、初めてその事実がわかった。
「いまでもその手代を殺してやりたいと思う、と父親は云っていた」半太夫は茶を注ぎながら、首を振った、「仮にそういう躰質だったにもせよ、その手代がそんないたずらをし、そんな威しをしなかったら、娘もこんなふうに狂いはしなかったろう、これからでも、もしその男を見つけたら、その男を殺して自分も死ぬつもりだ、そう云ってまた泣いていたよ」
それは間違っている、と登は心の中で云った。彼はおゆみ自身の口から、その身の上話を聞き、それが殆んど事実だということを慥かめた。