Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
Lesen Sie 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.655 Zeichen · 80 Bildschirme
「私、だれだかわかりますか?」
と、娘は私を見上げながら、切り口上でいった。私は、しばらく思い出せなかった。
丸顔で、眉と目とのあいだがひろく、一重瞼の目がいささか脹れぼったい。指尖でつまみあげたような、ちんまりとした小さな鼻。色が白く、口紅のほかにはお化粧のあとのない肌。娘は、怒ったような目で私をみつめていた。
「わかりませんか? 私が」
ニコリともせず、娘はくりかえした。くびれた頤が可愛いらしく、ひどく子供っぽい顔の娘なのだ。――あ、そうか、と私は思った。
「あそうか、あの歌のオバサンかあ」と私はいった。「へえ。よく僕がわかったね」
「しらべたんです、私」と、娘はたじろがずに私の目をみつめたまま答えた。「あなたは大学生で、あの下宿に居候をしているんでしょう? この春から。いつも、お昼すぎまで寝ているんですってね。イビキがすごく大きくって、あなたは、とってもナマケモノなんですって?」
「……おどろいたね」と私は答えた。事実、おどろいていたのだ。慢性偏頭痛で、いつも首すじとこめかみに膏薬を貼っている下宿の小母さんを思い出した。私は彼女とはほとんど口をきいた記憶もない。