Japanische Klassiker mit Furigana
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ついおく
追憶
Lesen Sie 追憶 (ついおく) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.304 Zeichen · 23 Bildschirme
「夏目さんの『行人』の中に和歌の浦へ行った男と女とがとうとう飯を食う気にならずに膳を下げさせるところがあるでしょう。あすこを牢の中で読んだ時にはしみじみもったいないと思いましたよ」
彼は人懐い笑顔をしながら、そんなことも話していったものだった。
三六 火花
やはりそのころの雨上がりの日の暮れ、僕は馬車通りの砂利道を一隊の歩兵の通るのに出合った。歩兵は銃を肩にしたまま、黙って進行をつづけていた。が、その靴は砂利と擦れるたびに時々火花を発していた。僕はこのかすかな火花に何か悲壮な心もちを感じた。
それから何年かたったのち、僕は白柳秀湖氏の「離愁」とかいう小品集を読み、やはり歩兵の靴から出る火花を書いたものを発見した。(僕に白柳秀湖氏や上司小剣氏の名を教えたものもあるいはヒサイダさんだったかもしれない)それはまだ中学生の僕には僕自身同じことを見ていたせいか、感銘の深いものに違いなかった。僕はこの文章から同氏の本を読むようになり、いつかロシヤの文学者の名前を、――ことにトゥルゲネフの名前を覚えるようになった。それらの小品集はどこへ行ったか、今はもう本屋でも見かけたことはない。