Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅうちょう
酋長
岡本 かの子
Lesen Sie 酋長 (しゅうちょう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.417 Zeichen · 3 Bildschirme
「裾をうんとめくりよ。霜が深くて汚れるよ」なるほど径は霜柱が七八寸も立っていて、ざくりざくりと足が滅込むので長靴でなければ歩けないのだ。
ほのかな錆びた庭隅に池と断崖とが幾曲りにも続いて、眺めのよい小高見には桟敷や茶座敷があった。朝子は、何十年か、何百年か以前、人間が意慾を何かによって押えられた時代に、人間の力が自然を創造する方面へ注がれた息づきが、この庭に切々感じられた。
「ここに鼬の係蹄が仕掛けてあるよ」「あれが鵯を捉える羽子だ」そして、「茸を生やす木」などと島吉が指さすのを見ながら、これが東京とは思えなかった。月日のない山中の生活のようだ。
「島吉つぁん、学校に行ってるの」
「尋常のしまいだけで止めた」
「何に、なり度いの」
すると、この少年は功利と享楽に就て打算が速かな現代人の眼色の動きをちょっと見せたが、すぐ霊明で而も動物的な澄んだ眼に立直って言った。
「飛行機乗りになりたいんだがおやじが許さないんだ」
「それで」
「だから、もう何にもなり度くないんだ。やっぱりこの庭の番人になるんだ」
「だけど、お友達なんかなくって淋しかないの」
「うん、あるよ、時々外から来るよ。