Japanische Klassiker mit Furigana
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さけのついおく
酒の追憶
Lesen Sie 酒の追憶 (さけのついおく) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.870 Zeichen · 14 Bildschirme
」
その下着は、故郷のお婆さんのおさがりだった。私は、いよいよ面白くない気持で、なおもがぶがぶ、生れてはじめてのひや酒を手酌で飲んだ。一向に酔わない。
「ひや酒ってのは、これや、水みたいなものじゃないか。ちっとも何とも無い。」
「そうかね。いまに酔うさ。」
たちまち、五ん合飲んでしまった。
「帰ろう。」
「そうか。送らないぜ。」
私はひとり、古谷君の宅を出た。私は夜道を歩いて、ひどく悲しくなり、小さい声で、
わたしゃ
売られて行くわいな
というお軽の唄をうたった。
突如、実にまったく突如、酔いが発した。ひや酒は、たしかに、水では無かった。ひどく酔って、たちまち、私の頭上から巨大の竜巻が舞い上り、私の足は宙に浮き、ふわりふわりと雲霧の中を掻きわけて進むというあんばいで、そのうちに転倒し、
わたしゃ
売られて行くわいな
と小声で呟き、起き上って、また転倒し、世界が自分を中心に目にもとまらぬ速さで回転し、
わたしゃ
売られて行くわいな
その蚊の鳴くが如き、あわれにかぼそいわが歌声だけが、はるか雲煙のかなたから聞えて来るような気持で、
わたしゃ
売られて行くわいな