Japanische Klassiker mit Furigana
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さけのついおく
酒の追憶
Lesen Sie 酒の追憶 (さけのついおく) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.870 Zeichen · 14 Bildschirme
私は立って玄関に迎えた。
丸山君おひとりであった。
「もうひとりのおかたは?」
丸山君は微笑して、
「いや、それが、こいつなんです。」
と言って風呂敷から、トミイウイスキイの角瓶を一本取り出して、玄関の式台の上に載せた。洒落たひとだ、と私は感心した。その頃は、いや、いまでもそうだが、トミイウイスキイどころか、焼酎でさえめったに我々の力では入手出来なかったのである。
「それから、これはどうも、ケチくさい話なんですが、これを半分だけ、今夜二人で飲むという事にさせていただきたいんですけど。」
「あ、そう。」
半分は、よそへ持って行くんだろう。こんな高級のウイスキイなら、それは当然の事だ、と私はとっさに合点して、
「おい。」
と女房を呼び、
「何か瓶を持って来てくれないか。」
「いいえ、そうじゃないんです。」
と丸山君はあわて、
「半分は今夜ここで二人で飲んで、半分はお宅へ置いて行かせていただくつもりなんです。」
私は、丸山君をいよいよ洒落たひとだ、と唸るくらいに感服した。私たちなら、一升さげて友人の宅へ行ったら、それは友人と一緒にたいらげる事にきめてしまっていて、また友人のほうでも、それは当然の事と思っているのだ。