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Japanische Klassiker mit Furigana

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そらとぶあくま

酒井嘉七探偵小説選 〔論創ミステリ叢書34〕

酒井 嘉七

Lesen Sie 酒井嘉七探偵小説選 〔論創ミステリ叢書34〕 (そらとぶあくま) von 酒井 嘉七 (さかいかしち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.471 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

赤沢は四畳の部屋の隅の二本の柱の前に正座すると、そこに残された種々の瑕を仔細に点検しはじめた。彼はこうした行動を静かに繰返しながら、私がとにもかくにも論文の原稿に「完」と記した頃には私の机の傍の床柱の前に静かに坐して同じ動作をいささかの疲労も見せずに続けていた。黄色い太陽の斜線がもう時間も大分過ぎたことを語っている。

「ありました」

彼は突然に誰にいうともなくこういった。そして私の方を振りむくと、改めて、

「ありました。確実な証拠がありました。これで父が話していた倉が、ここに違いないことが分りました。この床柱の横に釘のようなもので『キセソーベ』と書かれているのが判然と分ります。ソーベは父の子供の時分の呼び名で、キセという女は父を虐待して、この座敷牢に幽閉した後添の名前なんです。その後添も間もなく気が狂いこの部屋で死んだそうです」

私は百千の雷が一時に頭の上に落ちかかって来たような衝撃を感じた。頭の中の歯車が一つも残らずギギーと不気味な音を立て出した。

「赤沢さん。急に気分が悪くなりましたので失礼します。二三日のうちに是非お越し下さい。お話したいことがあります」