Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

のわき

野分

山本 周五郎

Lesen Sie 野分 (のわき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.401 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

しかしそれはかくべつ際だったものではなく、二十四歳の夢と若さと現実性をもった、きわめてあたりまえな愛であった。だが後に彼は知ったのである、烈火は消え易いが、くすぶっている埋み火は冷えにくいということを。

「今日が三日だな」とそのとき帰りがけに、又三郎はなにやら決心したようすで、藤七にそう云った、「……明後日の三時ごろ、御苦労だが蔦萬へ来て貰えまいか、ちょっと二人きりで話したいことがあるから、三時ごろがいいんだが」

へえと藤七は訝しげに見たが、合点するものがあったのだろう、かしこまりましたお伺い致しましょう、と答えた。

又三郎は路次を出ると、心に張の出た足どりで竪川の岸を歩いていった。まだ昏れて間もないのに、家々はたいがい戸をおろしていた、印を書いた油障子に灯のさしているのは、居酒屋か一膳めし屋のたぐいで、酔って唄うだみ声が、ひっそりとした河岸通りにもの侘しい反響を伝えていた。それは川の上の繋ぎ船で焚く火明りの、ちらちらと頼り無げな焔の色と共に、初冬の宵のしみとおるような寒さを際だたせるものだったが、そのときの又三郎にはなにやら懐かしく、できたらその仲間へはいってゆきたいような、誘惑をさえ感じた。