Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

のわき

野分

山本 周五郎

Lesen Sie 野分 (のわき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.401 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

三

そして結局は、小半刻すると蝶足の膳を二つ、つつましく皿小鉢をのせて、なんとも侘しい酒が始まった。

三

はじめは、たしかに侘しかった、しかしやがて老人がぽつりぽつり話しだした。ひと口に云えば身の上ばなしだが、飾らない言葉と、巧みな省略ぶりで、諄いというところが無く、そのうえまったく違った世間のことではあり、又三郎は惹きいられるような気持で聞いた。……老人の一生はごく平凡な、どこにでもある汗と貧苦と、涙と失意とで綴られたものだった、息子夫婦に先立たれて、孫娘と二人で稼いでいる事実だけでも察しはつく、それにもかかわらず、又三郎はそこにしみじみとした深い味わいを感じた。善良で勤勉で謙遜で、いつも足ることを知って、与えられるものだけを取り、腰を低くして世を渡る人たち、貧しければ貧しいほど実直で、義理、人情を唯一つの宝にもたのみにもしている人たち、……又三郎にはそれが羨ましいほど充実したものにみえ、本当に活きた人生のように思えた。

「おれも爺さんのように生きてみたいと思う」彼は溜息をつきながらそう云った、「……世の中はどっちへまわっても苦労なものだ、それならせめて自分の生きたいように生きてみたい、安楽や贅沢だけが最上のものじゃないからな」