Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

男は白き指もろ共に指輪を見詰めている。

「こんな指輪だったのか知らん」と男が云う。女は寄り添うて同じ長椅子を二人の間に分つ。

「昔しさる好事家がヴィーナスの銅像を掘り出して、吾が庭の眺めにと橄欖の香の濃く吹くあたりに据えたそうです」

「それは御話? 突然なのね」

「それから或日テニスをしていたら……」

「あら、ちっとも分らないわ。誰がテニスをするの。銅像を掘り出した人なの?」

「銅像を掘り出したのは人足で、テニスをしたのは銅像を掘り出さした主人の方です」

「どっちだって同じじゃありませんか」

「主人と人足と同じじゃ少し困る」

「いいえさ、やっぱり掘り出した人がテニスをしたんでしょう」

「そう強情を御張りになるなら、それでよろしい。――では掘り出した人がテニスをする……」

「強情じゃない事よ。じゃ銅像を掘り出さした方がテニスをするの、ね。いいでしょう」

「どっちでも同じでさあ」

「あら、あなた、御怒りなすったの。だから掘り出さした方だって、あやまっているじゃありませんか」

「ハハハハあやまらなくってもいいです。それでテニスをしているとね。指輪が邪魔になって、ラケットが思うように使えないんです。