Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
「私はどっちでもいいのです」
「じゃ坂を上って、本郷の方へ行きましょう。僕はあっちへ帰るんだから」
二人は電車の路を沿うてあるき出した。高柳君は一人坊っちが急に二人坊っちになったような気がする。そう思うと空も広く見える。もう綱曳から突き飛ばされる気遣はあるまいとまで思う。
「先生」
「何ですか」
「さっき、車屋から突き飛ばされました」
「そりゃ、あぶなかった。怪我をしやしませんか」
「いいえ、怪我はしませんが、腹は立ちました」
「そう。しかし腹を立てても仕方がないでしょう。――しかし腹も立てようによるですな。昔し渡辺崋山が松平侯の供先に粗忽で突き当ってひどい目に逢った事がある。崋山がその時の事を書いてね。――松平侯御横行――と云ってるですが。この御横行の三字が非常に面白いじゃないですか。尊んで御の字をつけてるがその裏に立派な反抗心がある。気概がある。君も綱引御横行と日記にかくさ」
「松平侯って、だれですか」
「だれだか知れやしない。それが知れるくらいなら御横行はしないですよ。その時発憤した崋山はいまだに生きてるが、松平某なるものは誰も知りゃしない」
「そう思うと愉快ですが、岩崎の塀などを見ると頭をぶつけて、壊してやりたくなります」