Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
「なぜだか知らない。厭なのだろう」
「それであなたはそのままにして御置きになるんですか」
「うん、書かんのを無理に頼む必要はないさ」
「でもそれじゃ、うちの方が困りますわ。この間御兄さんに判を押して借りて頂いた御金ももう期限が切れるんですから」
「おれもその方を埋めるつもりでいたんだが――売れないから仕方がない」
「馬鹿馬鹿しいのね。何のために骨を折ったんだか、分りゃしない」
道也先生は火桶のなかの炭団を火箸の先で突つきながら「御前から見れば馬鹿馬鹿しいのさ」と云った。妻君はだまってしまう。ひゅうひゅうと木枯が吹く。玄関の障子の破れが紙鳶のうなりのように鳴る。
「あなた、いつまでこうしていらっしゃるの」と細君は術なげに聞いた。
「いつまでとも考はない。食えればいつまでこうしていたっていいじゃないか」
「二言目には食えれば食えればとおっしゃるが、今こそ、どうにかこうにかして行きますけれども、このぶんで押して行けば今に食べられなくなりますよ」
「そんなに心配するのかい」
細君はむっとした様子である。
「だって、あなたも、あんまり無考じゃござんせんか。楽に暮せる教師の口はみんな断っておしまいなすって、そうして何でも筆で食うと頑固を御張りになるんですもの」