Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
何がさ」
「いいえね。あんまり演説なんかなさらない方が、あなたの得だと云うんです」
「なに得な事があるものか」
「あとが困るかも知れないと申すのです」
「妙な事を云うね御前は。――演説をしちゃいけないと誰か云ったのかね」
「誰がそんな事を云うものですか。――云いやしませんが、御兄さんからこうやって、急用だって、御使が来ているんですから行って上げなくっては義理がわるいじゃありませんか」
「それじゃ演説をやめなくっちゃならない」
「急に差支が出来たって断わったらいいでしょう」
「今さらそんな不義理が出来るものか」
「では御兄さんの方へは不義理をなすっても、いいとおっしゃるんですか」
「いいとは云わない。しかし演説会の方は前からの約束で――それに今日の演説はただの演説ではない。人を救うための演説だよ」
「人を救うって、誰を救うのです」
「社のもので、この間の電車事件を煽動したと云う嫌疑で引っ張られたものがある。――ところがその家族が非常な惨状に陥って見るに忍びないから、演説会をしてその収入をそちらへ廻してやる計画なんだよ」
「そんな人の家族を救うのは結構な事に相違ないでしょうが、社会主義だなんて間違えられるとあとが困りますから……」