Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

のわき

野分

夏目 漱石

Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

と自分を軽蔑したような口調で云う。

「じゃ何の草稿だい」

「地理教授法の訳だ。あしたまでに届けるはずにしてあるのだから、今なくなっちゃ原稿料も貰えず、またやり直さなくっちゃならず、実に厭になっちまう」

「それで、探がしに行っても出て来ないのかい」

「来ない」

「どうしたんだろう」

「おおかた車掌が、うちへ持って行って、はたきでも拵えたんだろう」

「まさか、しかし出なくっちゃ困るね」

「困るなあ自分の不注意と我慢するが、その遺失品係りの厭な奴だ事って――実に不親切で、形式的で――まるで版行におしたような事をぺらぺらと一通り述べたが以上、何を聞いても知りません知りませんで持ち切っている。あいつは廿世紀の日本人を代表している模範的人物だ。あすこの社長もきっとあんな奴に違ない」

「ひどく癪に障ったものだね。しかし世の中はその遺失品係りのようなのばかりじゃないからいいじゃないか」

「もう少し人間らしいのがいるかい」

「皮肉な事を云う」

「なに世の中が皮肉なのさ。今の世のなかは冷酷の競進会見たようなものだ」と云いながら呑みかけの「敷島」を二階の欄干から、下へ抛げる途端に、ありがとうと云う声がして、ぬっと門口を出た二人連の中折帽の上へ、うまい具合に燃殻が乗っかった。