Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
君行きたまえ」
「いらない切符などを買うのかい。もったいない事をするんだな」
「なに義理だから仕方がない。おやじが買ったんだが、おやじは西洋音楽なんかわからないからね」
「それじゃ余った方を送ってやればいいのに」
「実は君の所へ送ろうと思ったんだが……」
「いいえ。あすこへさ」
「あすことは。――うん。あすこか。何、ありゃ、いいんだ。自分でも買ったんだ」
高柳君は何とも返事をしないで、相手を真正面から見ている。中野君は少々恐縮の微笑を洩らして、右の手に握ったままの、山羊の手袋で外套の胸をぴしゃぴしゃ敲き始めた。
「穿めもしない手袋を握ってあるいてるのは何のためだい」
「なに、今ちょっと隠袋から出したんだ」と云いながら中野君は、すぐ手袋をかくしの裏に収めた。高柳君の癇癪はこれで少々治まったようである。
ところへ後ろからエーイと云う掛声がして蹄の音が風を動かしてくる。両人は足早に道傍へ立ち退いた。黒塗のランドーの蓋を、秋の日の暖かきに、払い退けた、中には絹帽が一つ、美しい紅いの日傘が一つ見えながら、両人の前を通り過ぎる。
「ああ云う連中が行くのかい」と高柳君が顋で馬車の後ろ影を指す。