Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
懐中には二十円五十銭ある。ただ今地理学教授法の原稿を四十一頁渡して金に換えて来たばかりである。一頁五十銭の割合になる。一頁五十銭を超ゆべからず、一ヵ月五十頁を超ゆべからずと申し渡されてある。
これで今月はどうか、こうか食える。ほかからくれる十円近くの金は故里の母に送らなければならない。故里はもう落鮎の時節である。ことによると崩れかかった藁屋根に初霜が降ったかも知れない。鶏が菊の根方を暴らしている事だろう。母は丈夫かしら。
向うの机を占領している学生が二人、西洋菓子を食いながら、団子坂の菊人形の収入について大に論じている。左に蜜柑をむきながら、その汁を牛乳の中へたらしている書生がある。一房絞っては、文芸倶楽部の芸者の写真を一枚はぐり、一房絞っては一枚はぐる。芸者の絵が尽きた時、彼はコップの中を匙で攪き廻して妙な顔をしている。酸で牛乳が固まったので驚ろいているのだろう。
高柳君はそこに重ねてある新聞の下から雑誌を引きずり出して、あれこれと見る。目的の江湖雑誌は朝日新聞の下に折れていた。折れてはいるがまだ新らしい。四五日前に出たばかりのである。折れた所は六号活字で何だか色鉛筆の赤い圏点が一面についている。