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Japanische Klassiker mit Furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

ここに浮いていたというあたりは、水草の藻が少しく乱れているばかり、ただ一つ動かぬ静かな濁水を提灯の明りに見れば、ただ曇って鈍い水の光り、何の罪を犯した色とも思えない。ここからと思われたあたりに、足跡でもあるかと見たが下駄の跡も素足の跡も見当たらない。下駄のないところを見ると素足で来たに違いない。どうして素足でここへ来たか、平生用心深い子で、縁側から一度も落ちたことも無かったのだから、池の水が少し下がって低かったら、落ち込むようなことも無かったろうにと悔やまれる。梅子も民子もただ見回してはすすり泣きする。沈黙した三人はしばらく恨めしき池を見やって立ってた。空は曇って風も無い。奥の間でお通夜してくれる人たちの話し声が細々と漏れる。

「いつまで見ていても同じだから、もう上がろうよ」

といって先に立つと、提灯を動かした拍子に軒下にある物を認めた。自分はすぐそれと気づいて見ると、果たして亡き人の着ていた着物であった。ぐっしゃり一まとめに土塊のように置いてあった。

「これが奈々ちゃんの着物だね」

「あァ」

ふたりは力ない声で答えた。絣の単物に、メリンスの赤縞の西洋前掛けである。