Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

「困ったなあ」

省作は出してもらった着物を引っ掛け、兵児帯のぐるぐる巻きで、そこへそのまま寝転ぶ。母は省作の脱いだやつを衣紋竹にかける。

「おッ母さん、茶でも入れべい。とんだことした、菓子買ってくればよかった」

「お前、茶どころではないよ」

と言いながら母は省作の近くに坐る。

「お前まあよく話して聞かせろま、どうやって出てきたのさ。お前にこにこ笑いなどして、ほんとに笑いごっちゃねいじゃねいか」

母に叱られて省作もねころんではいられない。

「おッ母さんに心配かけてすまねいけど、おッ母さん、とてもしようがねんですよ。あんだっていやにあてこすりばかり言って、つまらん事にも目口を立てて小言を言うんです。近頃はあいつまでが時々いやなそぶりをするんです。わたしもう癪に障っちゃったから」

「困ったなあ、だれが一番悪くあたるかい。おつねも何とか言うのかい」

「女親です、女親がそりゃひどいことを言うんです。つねのやつは何とも口には言わないけれど、この頃失敬なふうをすることがあるんです。おッ母さん、わたしもう何がなんでもいやだ」

「おッ母さんもね、内々心配していただよ。ひどいことを言うって、どんなこと言うのかい。