Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (おちぼ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 25.621 Zeichen · 52 Bildschirme
「どうだこんなに大きい。内紫というそうだ。昨日一つやってみたところ、なるほど皮の下は紫で美しい。味も夏蜜柑の比でないよ。」
矢野はにやにや笑いながら、
「僕はときどき鹿児島でくったんです。」
「ハハそれじゃ遼東の豕であったか、やっぱりこんなに大きくて。」
「えいこんなにゃ大きかない、こりゃでかいもんだ。」
矢野はザボンの一つを手にとって、こねまわして見る。大木は鉄瓶を呼んで、自分手ずから茶を入れる、障子に日がかぎって、風も少し静かになった。大木はなおひそかに矢野のようすに注意している。矢野は格子の前に立った時から見るとよほど血色がよくなった。ふたりでザボンを切ってしばらく笑い興ずる。
矢野は鹿児島高等学校を卒業して、帰郷して暑中休暇の間は意外元気であった。これでは肺の悪いのもそれほどではないのだろうと思われ、二里位のところへ平気で行って来られた。友人のところを遊びまわり四五日の旅行もしたが、何の事もなく愉快であった、親父も診察して心配するほどの事もないといった。それで始めはここ一か年休学して養生せねばと思っていたのを、この分ならば差しつかえもあるまいという気になり、取りあえず手紙で大木に相談すると、君がやって見ようという気になったのならば、むろんやるべしじゃ、あまり消極的に考えて、自分から病人ときめ込むのは、