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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.998 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

――そりゃあそうでしょうよ、あああ、いやだいやだ――。」

と剃刀の刃を合わせていた甚八が、急に何か思いついたように大声を出した。

「親分はあの清水屋の若主人の大痛事を御存じですかえ?」

「清水屋って、あの蔵前の――。」

「さいでげすよ、あの蔵前の人形問屋の――。」

「若主人――と。こうっと、待てよ。」

藤吉は首を捻っていた。

「伝二郎さんてましてね、田之助張りの、女の子にちやほやされる――。」

「あ。」と、藤吉は小膝を打った。「寄合えで顔だきゃあ見知っているので、まんざら識らねえ仲でもねえのさ。あの人がどうかしたのかい?」

「どうかしたのかえは情ねえぜ、親分。」

と甚八は面白そうににやにやしていた。

「やにもったいをつけるじゃねえか。いったいその伝二郎さんが何をどうしたってんだい?」

「じつはね、親分、」と甚八は声を潜める。「実あお耳に入れようと思いながら、ついうっかりしてましたのさ。」

「嫌だぜ、親方」と釘抜藤吉は腹から笑いを揺すり上げた。「またいつもの伝で担ぐんじゃねえか。この間のように落ちへ行って狐憑きの婆あが飛んで出るんじゃあ、こちとら引っ込みがつかねえからなあ、はっはっは。