Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
見る人のないことは承知であるが、そこは昔の武士気質、まして紋太郎は礼儀正しい。蔭ながら土下座をしたのであった。
鷹狩りの一行は林の前を林に添って行き過ぎようとした。
と、忽然西の空から、グーン、グーンという物の音が虚空を渡って聞こえて来た。
家斉公は足を止めた。で、お供も立ち止まる。
「何んであろうな、あの音は?」
こういいながら笠を傾け、日没余光燦然と輝く西の空を眺めやった。
「不思議の音にござります」
こう合槌を打ったのは寵臣水野美濃守であった。さて不思議とは云ったものの何んの音とも解らない。しかしその音は次第次第にこの一行へ近づいて来た。やはり音は空から来る。
「おお、鳥じゃ! 大鳥じゃ!」
家斉公は手を上げて空の一方を指差した。
キラキラ輝く夕陽をまとい、そのまとった夕陽のためにかえって姿は眩まされてはいるが、確かに一羽の巨大な鳥が空の一点に漂っている。
何んとその鳥の大きいことよ! それは荘子の物語にある垂天の大鵬と云ったところで大して誇張ではなさそうである。大鷲に比べて二十倍はあろうか。とにかくかつて見たことのない奇怪な巨大な鳥であった。
グーン、グーン、グーン、グーン、かつて一度も聞いたことのない形容を絶した気味の悪い声! そういう啼き声を立てながら悠然と舞っているのであった。