Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
家斉公はまじろぎもせず大鵬の姿を見詰めていたが、
「聞きも及ばぬ化鳥のありさま。このまま見過ごし置くことならぬ! 誰かある射って取れ!」
「はっ」と返辞えて進み出たのは近習頭白須賀源兵衛であった。
「おおそちなら大丈夫じゃ。矢頃を計り射落とすがよいぞ」
「かしこまりましてござります」
近習の捧げる重籐の弓をむずと握って矢をつがえたが、二間余りつと進むと、キリキリキリと引き絞った。西丸詰めの侍のうち、弓術にかけてはまず源兵衛と人も許し自分も許すその手練の引き絞った弓、千に一つの失敗もあるまいと、供の一同声を殺し、矢先に百の眼を集めたとたん、弦音高く切ってはなした。その矢はまさに誤たず大鵬の横腹に当ったが、こはそもいかに肉には通らず、戞然たる音を響かせて、二つに折れた矢は地に落ちて来た。
「残念!」とばかり二の矢をつがえ再びひょうふっと切って放したが、結果は一の矢と同じであった。二つに折れて地に落ちた。
心掛けある源兵衛は三度射ようとはしなかった。弓を伏せて跪座まる。
大鵬空に舞う
「源兵衛どうした。手に合わぬか?」家斉公は声をかけた。
「千年を経ました化鳥と見え、二度ながら矢返し致しましてござる」