Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.163 Zeichen · 25 Bildschirme
駕籠の中の花嫁を刺し殺すような野郎は、磔刑か火焙りにでもしなきゃ腹が癒えません」
田之助はそう言いながら、自分の言葉に興奮して、ガタガタと胴顫いをしているのです。待ちに待った嫁、親に無理を言って貰った嫁が、死骸になって来たのでは、全く泣いても泣ききれなかったでしょう。
「あの野郎とは誰のことだ」
平次の問いは冷たく素気ないものでした。
「磯の安松の野郎ですよ、あん畜生は身の程も知らずにお喜美さんを追い廻していました。三文博奕を渡世にしている野郎が、浪人と言っても立派な武家のお嬢さんを――」
「――――」
田之助は身を揉んで口惜しがるのです。
「その上あの野郎は、お喜美さんがここへ嫁入りすると話がきまると、――それが本当なら生かしちゃ置かない――と、お喜美さんへ脅かしの手紙をやったそうで――」
「それをどうしてお前さんは知っていなさるんだ」
平次は反問しました。
「お喜美さんから聞きました」
「嫁入り前の?」
「嫁入りの時には死んでいた人ですもの、嫁入り前に極っています、――私とはもう三月も前から――」
浪人しても武家の娘と威張ったお喜美が、やくざの安松から脅かしの手紙を貰ったり、三月も前から町人の息子と交渉があったということは、この時代としては甚だ穏かならぬことです。