Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.006 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

「ヘエ」

ガラッ八は不足らしい顔をして出て行きました。

神田から本郷お弓町へ。――朝行って昼過ぎに行って、近頃は宵にもういちど行く熱心さですが、竹斎の滝三郎は大して持て余した顔もせず、尺八も吹けば法螺も吹くといった気楽さで、ガラッ八相手の一日を送っているような有様でした。

その時はもう酉刻半(七時)近いころ、夏の日もとうに暮れて、四方は薄暗くなる時分でした。お弓町まで行くと向うへ行く男の姿が、なんとなく見覚えがあるようで、――近寄って声をかけると、紛れもないそれは竹斎の滝三郎です。

そのころ流行った風俗ですが、一管の尺八を腰に差して、寛闊な懐ろ手、六法を踏む恰好で歩くのは花道から出て来る花川戸の助六や御所の五郎蔵と通うものがあります。

「お、八五郎親分、ちょうどいい塩梅に逢いました。一と足違いで出かけるところで――」

そう言いながら滝三郎は、脇差にした尺八をグイと後ろに廻します。太く逞しい一管で、それならば喧嘩道具にもなりそうです。

「ここでも話の出来ないことはないが――」

「まアまアそう言わずに入って下さい。一人で淋しいから出かけたところで、親分が来て下さればちょうど好い幸いに一本つけさせますよ」