Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.006 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

平次の叱咤につれて、八五郎の身体は猟犬のように動きます。幸いの月夜、疾風のごとく逃げ廻る曲者は、次第に逃げ路を失って、平次と八五郎の狭めて行く輪の中に入ります。

「八、気をつけろッ」

言う間もありません。

脇差がとんで八五郎の眉間へ来るのを、かわすのが精いっぱい、

「野郎ッ、神妙にせいッ」

二た太刀目が八五郎の咽喉笛を狙って来る前に銭形平次の手からは久し振りの銭が飛びました。二つ、三つ、五つ、曲者は額と顎と、掌を打たれひるむところを、力自慢の八五郎が、後ろからむずと組み付いたのです。

*

「痣の熊吉が、あの年増女の多与里とは気が付かなかった。驚いたね親分」

一埒が済んでから、ガラッ八は今度ばかり九分通り自分の手柄にして貰って、すっかり好い心持になっているのでした。

「俺も判らなかったよ。だが、あの家は最初から怪しいとは思った。――良い男は女に化けられるだろうが、声だけはどうすることも出来ない。唖になっているのは面白い考えだが、偽唖というものはむずかしいものだ。多与里は随分上手に化けてはいたが、気をつけて見ていると、物音がするたびに、瞳が動く。――耳が聞える証拠だ」