Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
それを梅次郎さんや義助さんに見付けられて、ずいぶん困ったこともありましたが……。まあ、旦那さまには隠して置いてもらうことにして、無事に江戸まで帰ってまいりますと、この頃になってまたどこからか出て来まして、時々にわたくしの部屋へも姿をみせます。しかも、ゆうべはわたくしの夢に、その鼠が枕もとへ忍んで来まして、袖をくわえてどこへか引っ張っていこうとするらしいのです。こっちが行くまいとしても、相手は無理にくわえていこうとする。同じような夢を幾たびも繰返して、わたくしもがっかりしてしまいました。そのせいか、今朝はあたまが重くって、何をたべる気もなしにぼんやりしていますと、仲働きと女中の話し声がきこえまして……。」
あまりに気分が悪いので、お元は台所へ水を飲みにゆくと、女中部屋で仲働きのお国が女中お芳に何か小声で話しかけている。鼠という言葉が耳について、お元はそっと立聞きすると、ゆうべはあの鼠がおかみさんの蚊帳のなかへはいり込んだこと、お元の枕もとにも坐っていたこと、それらをお国が不思議そうにささやいているのであった。
もう仕方がないとお元も覚悟した。娘に化けて近江屋の家督を相続する――その大願成就はおぼつかない。