Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
うかうかしていると化けの皮を剥がれて、騙りの罪に問われるかも知れない。いっそ今のうちにも何もかも白状して、七兵衛夫婦に自分の罪を詫びて、早々にここを立去るのほかはないと、かれは思い切りよく覚悟したのである。
「重々憎い奴と、定めしお腹も立ちましょうが、どうぞ御勘弁くださいまして、きょうお暇をいただきとうございます。」と、お元はまた泣いた。
その話を聞いているあいだに、七兵衛もいろいろ考えた。憎いとはいうものの、欺されたのは自分の不覚である。当人の望み通りに、早々追い出してしまえば子細はないのであるが、親類の手前、世間の手前、奉公人の手前、それを何と披露していいか。正直にいえば、まったくお笑い草である。近江屋七兵衛はよくよくの馬鹿者であると、自分の恥を内外にさらさなければならない。その恥がそれからそれへと広まると、近江屋の暖簾も瑕が付く。それらのことを考えると、七兵衛も思案にあぐんだ。
女房のお此も夫とおなじように考えた。殊にお此は女であるだけに、自分の前に泣いて詫びているお元のすがたを見ると、またなんだか可哀そうにもなって来た。たとい偽者であるにもせよ、けさまでわが子と思っていたお元を、このまま直ぐに追い出すに忍びないような弱い気にもなった。