Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
その店は入口が帳場になっていて、そこを通りぬけると中庭がある。その中庭を廊下づたいに奥座敷へ通ることになっているのですが、ここに不思議な話というのは、その中庭には大きい池があって、そこにたくさんのすっぽんが放してある。天気のいい日には、そのすっぽんが岸へあがったり、池のなかの石に登ったりして遊んでいる。ところで、客がその奥座敷へ通って、うなぎの蒲焼や泥鱒鍋をあつらえた時には、かのすっぽん共は平気で遊んでいるが、もし泥鼈をあつらえると、かれらは忽ちに水のなかへ飛び込んでしまう。それはまったく不思議で、すっぽんという声がきこえると、たくさんのすっぽんがあわてて一度に姿をかくしてしまうそうです。かれらに耳があるのか、すっぽんと聞けばわが身の大事と覚るのか、なにしろ不思議なことで、それをかんがえると、泥鼈を食うのも何だか忌になりますね。」
有年はだまって聴いていた。馬琴はしずかに答えた。
「それは初耳ですが、そんなことが無いとも言えません。これはわたしの友達の小沢蘆庵から聴いた話ですが、蘆庵の友達に伴蒿蹊というのがあります。ご存じかも知れないが、蘆庵、蒿蹊、澄月、慈延といえば平安の四天王と呼ばれる和歌や国学の大家ですが、その蒿蹊がこういう話をしたそうです。