Japanische Klassiker mit Furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme
支度はして来たっても餒い思いもせず、その蒼い花の咲く草を捜さなけりゃならんほど渇く思いをするでもなし、勿論この先どんな難儀に逢おうも知れんが、それだって、花を取りに里から日帰をするという、姉さんと一所に行くんだ、急に日が暮れて闇になろうとも思われないが、全くこれぎりで、一足ずつ出さえすりゃ、美女ヶ原になりますか。」
「ええ、訳はございません、貴方、そんなに可恐処と御存じで、その上、お薬を採りに入らしったのでございますか。」
言下に、
「実際命懸で来ました。」と思い入って答えると、女はしめやかに、
「それでは、よくよくの事でおあんなさいましょうねえ。
でも何もそんな難しい御山ではありません。但此処は霊山とか申す事、酒を覆したり、竹の皮を打棄ったりする処ではないのでございます。まあ、難有いお寺の庭、お宮の境内、上つ方の御門の内のような、歩けば石一つありませんでも、何となく謹みませんとなりませんばかりなのでございます。そして貴方は、美女ヶ原にお心覚えの草があって、其処までお越し遊ばすに、二日も三日もお懸りなさらねばなりませんような気がすると仰有いますが、何時か一度お上り遊ばした事がございますか。