Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
「宅へ来出してから、もう四五年になりますが、いつ見ても同じ事で、少しも変らないんですよ」と細君が注意した。
「実際珍らしい男です」と主人も評語を添えた。三日も外へ出ないと、町幅がいつの間にか取り広げられていたり、一日新聞を読まないと、電車の開通を知らずに過したりする今の世に、年に二度も東京へ出ながら、こう山男の特色をどこまでも維持して行くのは、実際珍らしいに違なかった。宗助はつくづくこの織屋の容貌やら態度やら服装やら言葉使やらを観察して、一種気の毒な思をなした。
彼は坂井を辞して、家へ帰る途中にも、折々インヴァネスの羽根の下に抱えて来た銘仙の包を持ち易えながら、それを三円という安い価で売った男の、粗末な布子の縞と、赤くてばさばさした髪の毛と、その油気のない硬い髪の毛が、どういう訳か、頭の真中で立派に左右に分けられている様を、絶えず眼の前に浮べた。
宅では御米が、宗助に着せる春の羽織をようやく縫い上げて、圧の代りに坐蒲団の下へ入れて、自分でその上へ坐っているところであった。
「あなた今夜敷いて寝て下さい」と云って、御米は宗助を顧みた。夫から、坂井へ来ていた甲斐の男の話を聞いた時は、御米もさすがに大きな声を出して笑った。