Japanische Klassiker mit Furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Lesen Sie 阿部一族・舞姫 (かのように) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.875 Zeichen · 141 Bildschirme
石田は長靴を脱いで上がる。雨覆を脱いで島村にわたす。島村は雨覆と靴を持って勝手へ行く。石田は西の詰の間に這入って、床の間の前に往って、帽をそこに据えてある将校行李の上に置く。軍刀を床の間に横に置く。これを初て来た日に、お時婆あさんが床の壁に立て掛けて、叱られたのである。立てた物は倒れることがある。倒れれば刀が傷む。壁にも痍が附くかも知れないというのである。
床の間の前には、子供が手習に使うような机が据えてある。その前に毛布が畳んで敷いてある。石田は夏衣袴のままで毛布の上に胡坐を掻いた。そこへ勝手から婆あさんが出て来た。
「鳥はどうしなさりまするかの。」
「飯の菜がないのか。」
「茄子に隠元豆が煮えておりまするが。」
「それで好い。」
「鳥は。」
「鳥は生かして置け。」
「はい。」
婆あさんは腹の中で、相変らず吝嗇な人だと思った。この婆あさんの観察した処では、石田に二つの性質がある。一つは吝嗇である。肴は長浜の女が盤台を頭の上に載せて売りに来るのであるが、まだ小鯛を一度しか買わない。野菜が旨いというので、胡瓜や茄子ばかり食っている。酒はまるで呑まない。菓子は一度買って来いと云われて、名物の鶴の子を買って来た処が、「まずいなあ」