Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かのように
阿部一族・舞姫
Lesen Sie 阿部一族・舞姫 (かのように) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.875 Zeichen · 141 Bildschirme
それで本ばかり読んでいることになるのである。
「又本を読むかな」と秀麿は思った。そして運動椅子から身を起した。
丁度その時こつこつと戸を叩いて、秀麿の返事をするのを待って、雪が這入って来た。小さい顔に、くりくりした、漆のように黒い目を光らして、小さくて鋭く高い鼻が少し仰向いているのが、ひどく可哀らしい。秀麿が帰った当座、雪はまだ西洋室で用をしたことがなかったので、開けた戸を、内からしゃがんで締めて、絨緞の上に手を衝いて物を言った。秀麿は驚いて、笑顔をして西洋室での行儀を教えて遣った。なんでも一度言って聞せると、しっかり覚えて、その次の度からは慣れたもののようにするのである。
煖炉を背にして立って、戸口を這入った雪を見た秀麿の顔は晴やかになった。エロチックの方面の生活のまるで瞑っている秀麿が、平和ではあっても陰気なこの家で、心から爽快を覚えるのは、この小さい小間使を見る時ばかりだと云っても好い位である。
「綾小路さんがいらっしゃいました」と、雪は籠の中の小鳥が人を見るように、くりくりした目の瞳を秀麿の顔に向けて云った。雪は若檀那様に物を言う機会が生ずる度に、胸の中で凱歌の声が起る程、無意味に、何の欲望もなく、秀麿を崇拝しているのである。