Japanische Klassiker mit Furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Lesen Sie 阿部一族・舞姫 (かのように) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.875 Zeichen · 141 Bildschirme
この時雪の締めて置いた戸を、廊下の方からあらあらしく開けて、茶の天鵞絨の服を着た、秀麿と同年位の男が、駆け込むように這入って来て、いきなり雪の肩を、太った赤い手で押えた。「おい、雪。若檀那の顔ばかり見ていて、取次をするのを忘れては困るじゃないか。」
雪の顔は真っ赤になった。そして逃げるように、黙って部屋を出て行った。綾小路の方は振り返ってもみなかったのである。
秀麿の眉間には、注意して見なくては見えない程の皺が寄ったが、それが又注意して見ても見えない程早く消えて、顔の表情は極真面目になっている。「君つまらない笑談は、僕の所でだけはよしてくれ給え。」
「劈頭第一に小言を食わせるなんぞは驚いたね。気持の好い天気だぜ。君の内の親玉なんぞは、秋晴とかなんとか云うのだろう。尤もセゾンはもう冬かも知れないが、過渡時代には、冬の日になったり、秋の日になったりするのだ。きょうはまだ秋だとして置くね。どこか底の方に、ぴりっとした冬の分子が潜んでいて、夕日が沈み掛かって、かっと照るような、悲哀を帯びて爽快な処がある。まあ、年増の美人のようなものだね。こんな日に鼠のようになって、内に引っ込んで、本を読んでいるのは、世界は広いが、先ず君位なものだろう。