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Japanische Klassiker mit Furigana

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いんじゅう

陰獣

江戸川 乱歩

Lesen Sie 陰獣 (いんじゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.968 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

それでもやはり、あの釦は六郎氏が落したものだと強弁する為には、こんな風にでも考える外はなかった。即ち、手袋からとれた釦が六郎氏のポケットに残っていた。六郎氏は、それを知らずに釦のない手袋は使用出来ぬので運転手に与えた。それから少く見て一ヶ月後、多分は三ヶ月後に(脅迫状が来始めたのは二月頃からであった)同氏が天井裏へ上った時、洵に偶然にも釦がそのポケットから落ちたという、持って廻った順序なのだ。手袋の釦が外套でなくて服のポケットに残っていたというのも変だし、(手袋は多く外套のポケットへしまうものだ。そして、六郎氏が天井裏へ外套を着て上ったとは考えられぬ。いや、洋服を着て上ったと考えることさえ、可なり不自然だ)それに六郎氏の様な金満紳士が、暮れに着ていた服のままで春を越したとも思われぬではないか。

これがきっかけとなって、私の心には又しても陰獣大江春泥の影がさして来た。六郎氏が惨虐色情者であったという近代の探偵小説めいた材料が、私にとんでもない錯覚を起させたのではなかったか。(彼が外国製乗馬鞭で静子を打擲したこと丈けは、疑いもない事実だけれど)そして、彼はやっぱり何者かの為に殺害されたのではあるまいか。