Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すずめがもりのかいい

雀が森の怪異

田中 貢太郎

Lesen Sie 雀が森の怪異 (すずめがもりのかいい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.614 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

「来てくれるかね、それでは頼むよ、ほんのちょっとでいいから」

「往こう、十二時だね」

「そうだ、おそくって気のどくだが」

「雀が森のどこへ往く」

「あの石燈籠がある処がいいよ」

「そうかね、往こう」

「それじゃ、来てくれ給え」

神中はそういって弱よわしそうな白い顔を気もちよさそうにしてみた。

彼はそれが如何にもいたいたしいように思われて、己がその依頼を聞き入れてやったことが、何かしら大きないいことをしてやったような気がして心の満足を感じた。彼はそこで神中の現状を聞こうとしたところが、神中はもう起ちかけた。

「じゃ、勉強中をお邪魔してすまなかったね、では、どうか明日の晩にね」

彼はそのまま神中を帰すのがあっけなかった。

「まあ、いいじゃないか」

「いや、おそいから、では失敬」

「そうかね、では明日の晩に逢おう」

「頼むよ」

神中はすぐ起って障子を開けて出た。彼も神中を送ろうと思って起ったが、すぐ障子が締ってもう梯子段の降口に跫音がしだしたので坐った。彼はそうして神中のことを考えているうちに、ふとその考えが神中の妹へ往った。神中に似て弱よわしてどこか夕顔の花のようなたよりないその顔が浮かんでくると、その女はどうしているだろう、な女であったから、早く良縁があって結婚でもしているかも判らないと思った。