Japanische Klassiker mit Furigana
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
Lesen Sie 雨あがる (あめあがる) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.794 Zeichen · 43 Bildschirme
――珍しいことではない。
街道筋の町はずれのこういう安宿では、こんな騒ぎがよく起こる。客の多くはごく貧しい人たちで、たいていが飴売りとか、縁日商人とか、旅を渡る安旅芸人などだから、少し長く降りこめられでもすると、食う物にさえ事欠き、つい他人の物に手を出す、という者も稀ではなかった。
――だが泥棒とはひどすぎる、泥棒とは。
伊兵衛は自分が云われているかのように、恥ずかしさと済まないような気持とで、胸がどきどきし始めた。
女の叫びは高くなるばかりだが、ほかには誰の声もしなかった。こちらの三帖の小部屋からは見えないけれども、炉のあるその部屋には十人ばかりも滞在客がいる筈である。なかに子持ちの夫婦づれも二た組いて、小さいほうの子供は一日じゅう泣いたりぐずったりするのだが、今はその子さえ息をひそめているようであった。
女は日蔭のしょうばいをする三十年増で、ふだんから同宿者との折合いが悪かった。誰も相手になる者がなく、みんなが彼女を避けていた。もちろん軽蔑ではない。自分じぶんが生きることで手いっぱいな人たちには、職業によって他人を卑しめるような習慣も暇もなかった。