Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきしろやまめ
雪代山女魚
佐藤 垢石
Lesen Sie 雪代山女魚 (ゆきしろやまめ) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.297 Zeichen · 19 Bildschirme
草薙山の方に近い密林の中に、早春の雄鹿が嬉々と鳴く。
湯滝の滝壺は、まだ夜が明けきれない。絶壁と緑樹が朝陽を遮って残りの闇が、地面を淡墨に漂う。だが、滝の岩頭には朝がきた。瀑は真っ白な飛沫をこまやかにちらして、大空を落下してくる。澄白と薄明の対照だ。
滝壺の瀬尻のせせらぎに、ガバと波紋を描いたものがある。それは、虹鱒であろう。かげろうの羽虫を餌として、鈎を瀬脇に投げ込めば、瞬間にグッとくる。確と餌を食い込んだのだ。竿も折れよとばかりの強引である。ようやくにして水面へ抜きあげ、手網にとって見た虹鱒、銀青色の横腹に紅殻を刷いたような彩、山の魚は美しい。
湯の湖へは姫鱒、湯川へは川鱒と虹鱒を、帝室林野局で年々数多く放流している。冷徹な峡間は、湯滝の下に苔生した天然林を抜け出して、戦場ヶ原を幾曲がり、龍頭の滝を落ちて中禅寺湖へ注いでいるが、ここは渓流魚釣りの練習場として、まことに好適の流れである。
五
上越国境は、渓流魚の巣であるかも知れない。清水トンネルの下を流れる湯桧曾川、谷川岳から出る谷川、万太郎川から越後へ走る魚野川。何れも岩魚の姿が濃い。